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【感想】小川哲「君のクイズ」|クイズを通して見えてくるモノ…!!!

【感想】小川哲「君のクイズ」|クイズを通して見えてくるモノ...!!!

ネタバレ注意!!!

オチとか結末の詳細は書きませんが、感想を書く以上ある程度は内容に触れます(極力、内容に触れず書きます)

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簡単なあらすじ

「Q-1グランプリ」という最大規模のクイズプレーヤーの優勝者を決める生放送番組。

決勝戦、1対1、この問題に正答したほうが優勝という最後の問題。お手つきも許されない状況。

主人公の対戦相手は、問題文が読まれる前にボタンを押して正解し、優勝を果たす。

なんで!?やらせ!?

主人公は真相に迫る・・・!!

 

 

という感じ。

もう最初の設定が面白そうだし、単行本で165ページと短めだったのでと気軽に読み始めたら、おもしろくて一気に読んじゃいました。

著者の小川哲さんは「地図と拳」という作品で、第168回の直木賞を受賞されてるスゴイ方(読み終わるまで知らなかった)。

本作も今年2023年の本屋大賞ノミネートというのも納得!(本屋大賞受賞作の「汝、星のごとく」も面白かった。今更だけどベクトルの違う面白さがある小説の大賞を決めるって絶対難しいのに、本屋大賞毎年あるのスゴイね)

 

「君のクイズ」は“競技としてのクイズ”にめちゃくちゃフォーカスされた小説でした。

クイズって大なり小なり僕たちも人生で関わってきたモノですよね。受験なんてまさにそうですし。クイズ番組はいつでも人気です。

クイズというとっつきやすいテーマで、「問い読みゼロで正解」という引き込まれる導入で、推理テイストで最後まで飽きさせない本作の作りは見事でした。。。

感想

ここまで書いた通り、すごく面白い小説でした。テーマもある程度身近だし、ページ数も少ないので人におすすめするには凄くいいかも。

個人的に感じたことをつらつらと書いていきます。

QuizKnockを初めて見た時の衝撃が紐解かれる

この本を最後まで読んだときの謝辞に書いてあったのですが、この本、QuizKnockのメンバー協力のもと執筆されたそうです。参考文献には伊沢拓司さんの著者もある。

QuizKnockというと「クイズ」というテーマ一本で、YouTubeの登録者数が200万人を超える人気ユーチューバーですし、メンバーはそれぞれ東大王などのテレビ番組にも多数出演されているので、見たことがある人は多いでしょう。

僕もそのうちの一人で、数年前QuizKnockの動画は好きでよく見ていました。

見始めたのは友達からおすすめされたのがきっかけだったのですが、友達から話を聞いた時点では「クイズのYouTubeがなんでそんな面白いの?」という印象でした。

ですが、動画を見ればブログで感想を書きたくなるほど、ハマってしまいました。笑

東大生グループYouTuber「QuizKnock」にドハマりした件|頭の良さは行き過ぎると笑いに繋がる 東大生グループYouTuber「QuizKnock」にドハマりした件|頭の良さは行き過ぎると笑いに繋がる

この「君のクイズ」の本の中でも表現されているのですが、僕ら一般人にとってクイズプレーヤーって「魔法」を使っているみたいなんですよね。

「なんで問い読みのそのタイミングで答えられるの!?」って驚きの連続で、なぜその正解に至ったのか、思考を聞くと納得できる論理的なもので、見ているとパズルをピタッとはめたときのようにな気持ちよさがクセになります。

 

で、、、

この本では一流クイズプレーヤーの思考や、テクニック、またそのクイズに正解できたときに蘇る実体験が描かれていて、あたかも魔法かのようなナニカがどんどん紐解かれていく感じがして、読んでいて面白かったです…。

(なんせ、僕はQuizKnockの動画を見るまで、東大生とか超頭いい人が出てるクイズ番組はヤラセありきだと思っていたので・・・笑)

物語の進み方、構成が面白すぎ

ちょっとここからネタバレ要素多めになってしまうのですが、書かせてください・・・。

 

 

この本、まずは「決勝戦、最後の一問で対戦相手が問い読みが始まる前に正解を答えた」シーンから始まります。

この生放送のクイズ番組は、7点先取したほうが勝ちのルール。ということは、これまで主人公と対戦相手の点数は6対6、お手つきで点数にカウントされてない問題も含めると15問出題されていました。

主人公はなぜ対戦相手がゼロ文字回答できたのか、謎に迫るために、対戦相手のことや、その生放送番組を振り返ります。

 

1問目は、こんな問題だった・・・この問題を正解できたのは、過去に○○な体験をしたから・・・

2問目は、こんな問題だった・・・この問題は対戦相手に取られた。。。このとき相手は何を考えていたのか??相手の実力でなぜ正解できた??

3問目は、こんな問題だった・・・これは当時付き合っていた人との思い出の・・・

 

と、こんな感じに、出題された問題を振り返ることによって、自分が体験したことの記憶が蘇ったり、自分と対戦相手のクイズ力を比較したり、自分の人生においてクイズとは何か?だったり「主人公にとってクイズというのものが、自分にどう影響を及ぼしているのか」どんどん深掘りされていきます。

しかも、でてくるクイズはリアルなクイズなので、実在する地名だったり本の名前だったりがでてくるので、そこがリアルなんですよね。

 

この構成が本当に面白いなと・・・。

「ゼロ文字回答」という謎への道を進みつつ、クイズの面白さ・深さについても書かれて、ちゃんと小説として主人公の人となりが伝わってくる。

対戦相手目線での語りは無く、(冒頭のクイズ生放送番組をのぞいて)最後の最後まで対戦相手が登場しないので、対戦相手についてはずっと主人公目線の像でしかありません。

そのせいかもしれませんが、対戦相手が魅力的なキャラクターとして映っていて、だからこそ真相が気になって、最後まで楽しめる構成になっているのもすごい。

クイズ起点で人生を語っていく物語の構成そのものが、主人公らしくて「君のクイズ」というタイトル回収も綺麗で、ほんとすんごい。

オチが微妙という人もいるけど…

こういう面白かったと思う作品を見ると、他の人の感想を知りたくなっていつも検索しちゃいます。

んで、、小説系のYouTuberで有名で昔よく見ていたベルさんの動画でも「君のクイズ」が語られていたので、さっそく見てみました。

僕、ベルさんが否定的なコメントするのはあまり見かけないのですが、生放送の一気読みライブで読後の感想を素直に吐露していたからなのか「オチは私好みではなかったな〜」と結構キッパリと微妙だった感じを出していました。笑

まーーーー、そのお気持ちもわかるのですが、、、たぶんベルさんは登場人物の心情とか行動原理みたいなものを深くまでのめり込んで楽しみたいタイプ(?)の方なのかな、と思いました。

それかガッツリ推理小説として楽しみたい人にも微妙かも。

たしかに、本作は設定が奇抜なうえに、ページ数が少ないので、「人間味」や「ストーリー性」みたいな部分は欠ける小説なのかと思います(でも、自分はそこが好きだった)。

主人公は“競技としてのクイズ”に真っ直ぐ向き合っていると思うし、だからこそのオチに対する違和感があるのは、主人公のクイズに対する熱を綺麗なものとして美化しすぎないようにしたと思う。

意図したかはわかりませんが、あえて賛否残すようにしたのかな、とも思いました(僕はベルさんの感想を見るまで違和感すらなかったのですが)。

主人公とはまた違う角度でクイズを見ている対戦相手を出すことによって、あなたにとってクイズって何?と問われてる気がする、、って考えたらやっぱ構成が神だわ

自分的には、最初の「ゼロ文字正答」という謎に対するオチもリアルで違和感なく読めたし、あえてこういうオチにしたんだろうなと思って、気持ちよく読み終えました。

んんん、、、オチを語るのはさすがにネタバレなので上手く言えないですが・・・。おれは好き。

 

興味がある人はぜひ読んでみてください。読むのが遅い僕でも読みやすくて、合計4時間くらいで読めました(`・ω・´)<おすすめ