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これは、あなたの物語かもしれない。
ゆうすけ
今回は、筒井康隆さんが書かれた「旅のラゴス」という小説を読んだので、あらすじと感想を話したいと思います!
筒井康隆さんのプロフィール
筒井 康隆(つつい やすたか、1934年(昭和9年)9月24日 – )は、日本の小説家・劇作家・俳優である。ホリプロ所属。身長166cm。小松左京、星新一と並んで「SF御三家」とも称される。パロディやスラップスティックな笑いを得意とし、初期にはナンセンスなSF作品を多数発表。1970年代よりメタフィクションの手法を用いた前衛的な作品が増え、エンターテインメントや純文学といった境界を越える実験作を多数発表している。
wikipediaより引用
筒井康隆さんはあの『時をかける少女』の原作を書かれた有名なSF作家さんです。
本書は、僕が大学生だった2,3年前でも生協の本屋で平積みされていた本なので、比較的新しめの本かと思いきや…
単行本の初版はなんと1986年。
ゆうすけ
ちなみに新潮社から出版された文庫本の初版は1994年。僕が生まれたのは1993年、この本が出版されたのとほぼ同じ年なので、僕がオギャーと生まれたときに書かれた本を今読んでいるというのはなんだか不思議な気持ちです…。
『旅のラゴス』のあらすじ
あらすじ・感想はネタバレなしの最低限の内容だけ伝えますが「まっさらな気持ちで読みたい!」という方はお気を付けて..m(__)m
この本は、旅を続けるラゴスという男の一生が書かれています。
この世界では、ワープのように一瞬のうちに異空間を越えて別の場所へ移動する「移転」や、壁をにゅるっと抜ける「壁抜け」などの超能力を有する人物が数多く登場します。
ゆうすけ
ただ全くのSF物語かと言われるとそうではなく、この世界ではそれら超能力が多少誇張されていても、そこにはちゃんと合理性があって、能力を有するまでの物語や考え方があります。
ゆうすけ
この世界は、僕らが住んでいるような高度に発達した文明ではなく、馬に乗って何日もかけて村から村へ移動したり、船に20日近く乗って大陸を移動するような世界です。
そんな移動することさえも過酷な時代にラゴスは生涯をかけて旅を続けるわけです。
ゆうすけ
ラゴスは居心地の良い場所にいても、そこでの試練をくぐると新たに別の地を目指して旅に出掛けるんですね。
そんなラゴスが生涯をかけて旅をする目的はなんなのか…??
読後の感想
本書は、最初から最後までスッキリとしたオチはなく、すべてラゴスの視点で淡々と事実が語られていきます。
ゆうすけ
読み始めの序盤では、この世界が一体なんなのか?ラゴスは何者なのか?年齢すらわからないほど種明かしがないまま進んでいきます。
そのあたりの説明的な文章が少なく、あくまでも、ラゴスの視線で物語が語られているため、ある種読者を置いてけぼりにしたような書き方です。
ゆうすけ
そして、この小説の面白いなと思った点は「世界観や時代背景がわからない超能力者がいる小説の世界」と「僕らが住む現代の世界」とがリンクしているというところ。
例えば、僕らが住む現代の世界では、当たり前にあるようなものが、小説の中の世界では新たに発明されたりするんですね。
そこには、僕らが生まれる時代の文明がどれほど高度なものか、先人が築き上げてきた叡智を感じることができました。
そして、この物語の中でも僕らと同じように
- 「出会いと別れ」
- 「生と死」
- 「成功と失敗」
があります。そういった経験をする旅によってラゴスという人間が形作られるわけです。
ゆうすけ
僕らは誰しもが気付いたらこの世の中で生を授かっているから、目的を持って人生という旅を始めた人っていないはずです。
「よっしゃー、人間界で成功するために生まれてやるぞー」なんて生まれてくる赤ちゃんはいないですよね。笑
ゆうすけ
本書は旅を続ける理由について考えるきっかけとなる本だと思います。
まとめ
娯楽として楽しめる要素もありながら、純文学として生き方について考えさせてくれます。
人生というのは旅であると、よく例えられますが、それをシンプルに書き記した小説になっているのではないかと思います。
アレコレと話しましたが、シンプルに物語としても面白いのでぜひ、興味ある方は読んでみてください!