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【紙の本と電子書籍】記憶に残りやすいのはどっち?【論文解説】

【紙の本と電子書籍】記憶に残りやすいのはどっち?【論文解説】

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ゆうすけ

どうも、本はもっぱら紙の本派の、ゆうすけです

今回は「紙の本と電子書籍どちらが記憶に残りやすいのか」についてです。

小林亮太さんが書かれた『表示媒体が文章理解と記憶に及ぼす影響-電子書籍端末と紙媒体の比較-』という論文をもとにお話します!

参考文献リンク

小林亮太, and 池内淳. “表示媒体が文章理解と記憶に及ぼす影響―電子書籍端末と紙媒体の比較―.” 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI) 2012.29 (2012): 1-7.
(最終確認日:2019/10/14)

紙の本の方が記憶に残りやすい

よーく言われていることであり想像に難くないと思うので、先に結論を書いてしまいます。

電子書籍より、紙の本の方が記憶に残りやすいです。

ゆうすけ

その理由というのが面白かったのでここで解説していきます!

論文詳細

この論文は情報処理学会研究報告に掲載されている2012年の論文です。

実験情報

被験者は5つの大学の学部生及び大学院生の男女36名。

  • 電子書籍リーダー:9.7インチのiPad
  • 紙:A5サイズの紙

被験者には、小説のような「文学的文章」と、学問をするための「説明的文章」の2種類の文章を読んでもらい、その読み速度を測ります。

その後に、「記憶テスト」「理解度テスト」の2つのテストを受けてもらい、どれほど本の内容が定着しているかを調べたそうです。

読み速度の結果

まずは、読み速度の結果を引用します。

読み速度の結果

図中の数字は、36名の平均値で、cpmは1分あたりに読んだ文字数を表します。斜線が引かれている棒が電子書籍、白塗りの棒が紙の本です。

随筆文はほとんど差がないのに比べて、説明文では電子書籍の方が文字を読む速度が速いことがわかります。

これについて、説明的文章の場合には、文中のどの部分が重要な情報かということが文学的文章よりわかりやすいため、「文字の鮮明さ」や「ページのめくりやすさ」に優位性のある電子書籍の方が読みやすかったのではないかと考察されています。

ゆうすけ

読み速度については、電子書籍がおおむね勝利!

記憶テストの結果

次に、記憶テストの結果を引用します。

記憶テストの結果

この記憶の測定方法は、「逐語的記憶テスト」という方法で、文章中の空所を記述するテストだそうです。要は穴埋め問題ということです。

記憶の定着に関しても、随筆文はあまり差がありませんが、説明文に関しては先ほどの読み速度の速さとは逆に、紙の本の方が優位な結果となっています。

ゆうすけ

記憶については、紙の本がおおむね勝利!

理解度テスト

次に、理解度テストの結果を引用します。

理解度テストの結果

この理解度の測定方法は、内容が正しく読み取れているかを試す問題を用意したそうです。

理解度に関しても、随筆文はあまり差がありません。

どちらも、随筆文・説明文ともに紙の本の方が優位な結果となっています。

ゆうすけ

理解度については、紙の本の勝利!

結果まとめ

以上3つの結果をまとめます。

  1. 読み速度の結果、説明的文章では、紙の本より電子書籍の方が速く読むことができる
  2. 記憶テストの結果、説明的文章では、電子書籍より紙の本の方が記憶成績がよい
  3. 理解度テストの結果、文学的文章と説明的文章のいずれも、電子書籍より紙の本の方が理解成績がよい

紙の本には「電子書籍リーダーのような文字の読みやすさ」がないゆえに、記憶にも定着しやすいし、そのうえ理解にも役に立つということです。

この論文では、参考文献としてWIRED SCIENCE(ワイアードサイエンス)という学術記事をあげており

電子書籍端末は、読み易すぎるためにかえって内容を思い出しづらいことが研究結果から示唆されたと論じている

と書かれています。

ゆうすけ

電子書籍端末やコンピュータの鮮明な画面とフォントは、意識下で脳がその単語を重要でないと判断してしまうことが原因だそうです

複数の異なるフォントで記憶の保持を調べたところ、情報を保持しておくには美しいフォントではない方がよい

という研究結果もあるそうです。

こういった他の研究結果と、本論文に記されているテストの結果に整合性があることから、調査の妥当性を評価しています。

電子書籍のメリット

ここまで、紙の本が記憶に残りやすいというメリットを示しました。

僕自身、断然紙の本派ですが、昔に電子書籍の魅力に憧れてAmazonのKindle端末を買って、それで本を読んでいたことがあります。

とはいえ、電子書籍って利便性の面でいうとめちゃくちゃ優秀なので捨てがたいんですよね。

Kindleのメリット

  • バックライトなしで紙の本を読んでいるかのような画面で目に優しく読んでいて疲れない
  • 重さは200gほどとめちゃくちゃ軽い
  • 電池は長持ちしすぎて充電するのを忘れるくらい

電子書籍には他にもメリットがたくさんあります。

今回紹介した論文の結果をみると、文学的文章に関しては、紙の本と電子書籍にそれほど差はないようなので、「小説を読むときは電子書籍」「ビジネス書を読むときは紙の本」というように使い分けてみてもいいのかなと思いました!

ゆうすけ

今回紹介した研究結果の通り、直感的にも紙の本の方が記憶に残りやすいなと感じています

これには、いくつか理由があると思いますし、読書の感覚を言語化するのがとても難しいので、シンプルに言うと紙の本の方が読んでいて楽しいんですよね。

本って「文字」だけが商品になっているのではなくて、

  • 表紙のイラスト
  • 文字のフォント
  • 触った感覚

これらを含めて本なんですよね。

電子書籍だとそれらが統一化されてしまうので、本の個性というのが殺されてしまっている気がします。

まとめ

今回は「紙の本と電子書籍どちらが記憶に残りやすいのか」についてお話しました!

電子書籍は読み易い。ただ、読み易さというのは、記憶に残りにくいです。なので、電子書籍のような読み易さがない紙の本は、記憶に残りやすいということでした。

ゆうすけ

「紙の本か?電子書籍か?」については読書好きにとっては、一度は考えるテーマなんじゃないかなと思います

僕はどちらも使ってみて、極力紙の本で読み続けたいなーと思ってます!