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【感想】フランツ・カフカ『変身』|なんとも後味の悪い物語でした…

【感想】フランツ・カフカ『変身』|なんとも後味の悪い物語でした...

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ゆうすけ

どうも、カエルが苦手な、ゆうすけです

今回は、ドイツ文学のフランツ・カフカの小説『変身』を読んだのでネタバレしない程度の簡単なあらすじと読後の感想を書いていこうと思います。

ゆうすけ

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最初に言いたいんですけど…

この本、「すごく面白い!」とか「タメになる!」という意味ではなく、なんなら僕は読んだ後、後味の悪さを感じていたのですが、それでもみんなに読んで欲しい、と思う不思議な小説でした。

「うわぁ…なんて後味の悪い小説書くんだよ…」と思いながらも、カフカの他の小説が気になってる自分がいます…。

フランツ・カフカ(Franz Kafka, ときにチェコ語: František Kafka, 1883年7月3日 – 1924年6月3日)は、出生地に即せば現在のチェコ出身のドイツ語作家。プラハのユダヤ人の家庭に生まれ、法律を学んだのち保険局に勤めながら作品を執筆、どこかユーモラスで浮ついたような孤独感と不安の横溢する、夢の世界を想起させるような独特の小説作品を残した。その著作は数編の長編小説と多数の短編、日記および恋人などに宛てた膨大な量の手紙から成り、純粋な創作はその少なからぬ点数が未完であることで知られている。

ウィキペディアより

カフカ『変身』のあらすじ

ある朝、グレゴール・ザムザが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。

こんな書き出しから始まる物語です。メインとなる登場人物は4人。

  • グレゴール:物語の主人公(毒虫)
  • グレゴールの母・父、とその娘(グレゴールの妹)

この物語は、とてもシンプルです。

ある朝、目覚めたら虫になった主人公と、その家族との間で起きた家の中での出来事が淡々と書かれているんです。

異常×リアル

この物語の不思議なところは、いっけん異常と見える出来事や心情が、僕らにも当てはまるかのようなリアルさと重なるところです。

異常1:虫になるという設定

ゆうすけ

まず異常なのは、朝起きたら毒虫になっているという設定ですよね

みなさん、虫になったことありますか?僕はないので想像で話すのですが、「ある朝起きて、虫になっていたら、どうするだろう?」って考えてみます。

まず驚くよね。

起きて自分のお腹見たら、虫なんだもん。しかも、手足は細くて何本も生えてるんです。

ドン引きです。

考えただけでゾクっとするほど恐ろしいです。

異常2:主人公の思考

そして異常ポイントその2。主人公のグレゴール、自分の体を動かしてみて虫になったことが夢じゃないとわかったそのとき、何を思ったかというと…

ああ、なんという骨の折れる職業を自分は選んだのだろう、と彼は考えた。

ゆうすけ

僕はこれを読んだとき、虫になったという設定を読み間違えたかと思いました。笑

「やべー!!!おれ虫になっとるやん!!!」ではなく

「うわぁ、今日も仕事かー、、、てか、もう起きないといけない時間だけど、体の動かし方わからんから、起きられないんだけど、、、あ、なかなか起きないオレを心配してお母さんが呼んでるな、大丈夫だよお母さんもう起きてるよー」

こんな調子です。

リアル1:周囲の反応

自分に子供がいる親御さんに(あまりしたくないと思うけど)想像してほしいのですが…

自分の息子が

醜い毒虫になっても愛せますか?

毒虫になったグレゴールの姿をみた家族は、そりゃもうパニックなわけです。

お母さんは気絶しちゃうし、お父さんは混乱して追い払おうとするんです。

部屋には虫になった息子がいる。見た目こそ変身したけど、たしかに息子っぽいから追い払うこともできず、かと言って以前と同じように接することはキツイ。そんな状況、気が気じゃないです。

そんな虫と家族の生活がずーっと書かれているのがこの小説です。

リアル2:虫になった人間の描写

著者のカフカは「虫になったことあるのか?」と思えるほど虫になっちゃった人間の描写がリアルだと感じました。

  • 虫の感覚
  • 体の動かし方
  • 味覚の変化

「虫になった!さぁどうなる!?」とストーリーがぽんぽんと進んでいくのではなく、人間が虫になったら・・・というあたり細かく書かれています。

オチは後味悪すぎ

そして、気になる話のオチ…。もちろんネタバレになってしまうのでここでは言いません。

冒頭にも言ったように「うわぁ…なんて後味の悪い小説書くんだよカフカさん…」って感じです。

ゆうすけ

でも、人によっては何とも思わないかもしれません

ひとつ言えるのは、大どんでん返し!衝撃のオチ!!って感じではないです。

このあたり、日本の近代文学や純文学にも共通すると思いますが、波瀾万丈のストーリーというよりは、出来事が淡々と書かれている感じです。

『変身』が訴えたいこと

カフカは「あるひとりの男が、虫になった」物語をリアルに書いただけなんですね。

そんな異常な設定の物語を書いたのに、読んだ人は「これは何かを喩えたストーリーなんじゃないか?」と推測させるほど、リアルと重なるわけです。

虫になった主人公は鬱の成りの果て?

例えば、「グレゴールは、働き過ぎて鬱になってしまった人」を虫に変身したと喩えた説。

こう考えると物凄く辻褄が合うんです。

グレゴールは、ひとりで家族を養っていました。

それはつまり、「仕事は大変でつらいけど、自分が頑張らないといけない」状況であったということ。

「仕事の忙しさでパンクしてしまって、朝起きても体が動かない、でも会社に行かないと…」という思考だとすると、虫になった朝のグレゴールの考えたことというのは納得ができます。

親と子の間の不条理

虫になったグレゴールは、言葉を発することができるのですが、他の人にはその言葉の意味を理解することはできません。僕らも虫が鳴いてたって何を言いたいかなんてわからないですよね。

ゆうすけ

個人的にはココが読んでいて一番しんどくなった部分です…。

親子の間で、絶対に一度は通ると思うのですが、子どもは親に対して、親は子供に対して「なんで自分のことをわかってくれないの?」と思ったことはありませんか?

僕はあります…。

自分の言葉で自分の思いを伝えて納得してもらおうと表現しても、理解してもらえないことがあったんですよね。

ゆうすけ

なんか、そのときスゲー悲しかったんですよ

自分の一番の理解者でいてくれるハズなのに、「何考えてるの?」と思われてしまうのは、そこに悪意があるわけではなくてもキツかったです。

そこらへんイタイところを読者に突き付けておいて、カフカは「いや?僕はただ虫になっちゃった物語書いただけですけど?」みたいなスタンスをとられているようで、勝手に「カフカめ…」と思ってしまいました。笑

親と子の間にある不条理が描かれている気がするので、読んでみるとそのあたりエグられるかもしれないです。

こういってアレコレ現実と重ねて推測ができるのもカフカのリアルな描写があってこそだと思いました。

カフカについて

こんな物語を書くってちょっと変わった作家さんですよね。

そこでカフカについて調べてみると、面白いことがわかりました。

カフカは一部発表された短編をのぞいて、すべての作品を未発表のままだったそうです。

『変身』は発表された作品で、その文学的才能を認められていたのにも関わらずです。

死ぬ間際に友人に「未発表の作品は焼き捨ててくれ」と遺言を残したそうです。

で、その友人、何をしたかというと…

積極的にカフカの作品を広めましたw

ゆうすけ

カフカの「おれの未発表のまま焼き捨ててくれ」という遺言ガン無視です。笑

その友人自身も有能な作家で、カフカの才能に気づいていたうちのひとりだったので、焼き捨てるどころか、むしろ積極的に編集してカフカの作品を世に送り出しましたんですね。

だから、いま世界中で文学愛好者たちがカフカの作品を読めているのは、その友人のおかげ、ということです。

普通、才能を認められていて、新しい作品ができたら発表したくなりそうですよね。

そのあたりも「え、おれはとある物語を書いただけですけど?みんな勝手に広めてアレコレ考えてるみたいですケド」みたいな、僕の中でのカフカのスタンスが、気にくわない、、だけど読みたくなる…みたいな。笑

ゆうすけ

面白い作家さんに出会うことができました