こちらの本を読んだとき人見絹枝さんのエピソードに感動したのでここに残します。
人見 絹枝(ひとみ きぬえ)さん
日本人女性初のオリンピック・メダリスト
1907-1931年。陸上選手、新聞記者。学生時代に陸上競技をはじめる。第9回オリンピックの800m走では、日本人女性で初の銀メダルをかくとく。
『偉人もみんな悩んでいた』より
女性が運動なんてみっともない?
絹枝さんは学生時代に未経験だったのにもかかわらず、走り幅跳びの陸上大会でいきなり日本記録を更新。
さらに三段跳びで世界記録まで出すほどの才能の持ち主でした。そしてスウェーデンで開かれた女子陸上の世界大会で優勝。
そのときの世間の声はというと・・・「女性が運動なんてみっともない」「子を産むのに健康に悪い」などの声だったそうです。
これが今からほんの100年前の日本の風潮だなんて驚きですよ・・・。世界一になった人を非難するなんてそんなことある?
結果を出せば世間が認めるはず
そこで絹枝さんは「どうしたら、女性がスポーツをすることをすばらしいことだと、世の中が認めてくれるのか?」と考えました。
そのための第一歩はオリンピックで結果を出すことだと思ったそうです。
そしてさすが絹枝さん。オランダで開かれる第9回アムステルダム・オリンピックにて800m走で銀メダルを獲得。
帰国後、国中が手のひらを返したかのように大絶賛。
人見絹枝さんの功績
そこから絹枝さんは、オリンピックの体験談をふまえて講演会をしたり、練習法を書いた本を出版したり、さらにその売り上げを女子陸上選手の合宿にあてるなど、女子スポーツの発展のために活用しました。
さらに絹枝さんが育てた女子選手といっしょに、海外の大会に出場し、そのときの旅費や滞在費などの資金は絹枝さん主体で寄付をつのって集めたそうです。
選手としてだけでなく、講演、本の執筆、募金の呼びかけなど、無理がたたってわずか24才の若さで亡くなったそうです。
感想
僕はこの本を読むまで人見絹枝さんの名前すら知りませんでした。
女性が何か考えを発信したり、今回の話のようにスポーツで活躍したり、そんなことすら認められなかった時代が、(長い歴史を考えると)ほんの最近まであったんです。今じゃ考えられませんが・・・。
男女差別は現代でも指摘されることが多い問題です。最近だと、タイツメーカーの女性蔑視が問題になったり、動物園の「女性」と「女子」を言い分けたツイートが話題になったり。
僕は問題点を指摘するときは、点ではなく線で捉えることが大切だと思っています。そのために歴史を学ぶって凄く重要で。
現代の問題ってだいたいが全部「昔よりマシ」なんです。
「不完全なこの世の中を理想の社会に近づけていこうぜ」ってのが僕らの役目であって、それは過去に生きた人達も同じでそのために励んでいたわけです。
いくつもの歴史の最前線に僕らは立っていて超便利な社会だから忘れてしまいがちだけど。
だって100年前の日本の価値観は「世界大会で優勝した!」という女性に対して「女性が運動なんてみっともない」ですからね。今だとそんなことツイートする人がいたら即炎上でしょう。
世の中の不完全さに腹立つことはあるけど、“女性がスポーツすることすら変な目で見られて、ただその壁をぶっ壊して歴史を変えた一人の女性がいた”ってことを知ると、自分の不満なんてちっぽけだなと思わされます。
絹枝さんのように自分が第一人者となって、世の中を変える人ってまさに偉人ですよね。
歴史にifはありませんが、こういった偉大なエピソードを知ると「もし、この人がいなかったら今頃どうなっていたんだろう?」と思わされます。