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【感想】映画「花束みたいな恋をした」※ネタバレあり注意

ネタバレありの感想なのでご注意を!

笑えるくらい理想のカップル

https://hana-koi.jp/

もう、The 理想。

「こんな大学生活送ってみたかった〜!!!!」って男女共に100%共感しちゃうくらい、絵に描いたような理想のカップルなわけです。

そりゃそうよ。

 

価値観ばっちりな美男美女が運命的な出会いをして、金なくて汚いけどおしゃれ〜な家でイチャイチャして、自然の景色が綺麗な場所で同棲始めちゃうんだもん。

 

男女の恋愛において、これ以上幸せなことないでしょ。

正直仲良すぎて上手くいきすぎて「そんなことあるかいな」って不意に笑っちゃうポイントがいくつもありました。笑

こんな理想を経験してるカップルなんていないんちゃう?

 

それだけ上手くできすぎやろ、って思うくらいフィクションチックな物語でも、会話がリアルなんですよ!!!これがこの映画のおもしろいところで!!

それもそうで、びっくりするくらい固有名詞がたくさんでてくる。「ゼルダ」とか「さわやか」とか「パズドラ」とか「ワンオク」とかとか。ほんと普通にでてくるから、リアルなんですよねw

そのあたりリアルさが入り混じって、非現実的とも言える理想とうまく中和されて楽しく見ることができました(ちゃんと2015年〜2020年という表記もあり)。

特に前田祐二さんの「人生の勝算」を読んだことのある僕としては、麦くんがその本を立ち読みしているシーンは、麦くんの心情の変化が一発で伝わってきて、本の使い方うまいな〜笑、と思いました。

学生ノリを続けたい彼女と社会に現実的な彼氏

大学生の時のキャピキャピから時間は過ぎて、、、麦くんは自分の「イラストを仕事にする」を諦めて普通の企業に就職。絹ちゃんも簿記の資格を活かして事務のお仕事に。

でも麦くん、本当はイラストを仕事にしたいって思ってたんですよね。

でも絹ちゃんとの将来を考えたら「自分が好きなことで、食っていく」ってことより、好きなことじゃなくても安定的に収入が得られる仕事のほうを取ったわけです。

 

対する絹ちゃんはというと、、、安定した事務の仕事を辞めて自分の関心のあるイベント会社に転職します。

過程を知らされずに事後報告で転職のことを聞いた麦くんカッチーン。。。そりゃそうですよね、、、自分の夢より彼女との将来を取ってやりたいくもない仕事を選んでるのに、彼女のほうは能天気(にも見えるような)感じで転職を告げられるんですから。

 

ここで喧嘩勃発。

 

しかも麦くん、このタイミングで「結婚しよ!」「おれが頑張って稼ぐから!」と、、、あんな仲良かったカップルのプロポーズがこんなことになる?

誰がこんな残念なプロポーズ予想した???苦笑

 

理想カップルラブラブゾッコンで終わるのも「俺はなにを見せられたの?」って気持ちになりそうですが、麦くんと絹ちゃんの関係が少しづつ拗れていくシーンを見てるのは、やっぱ胸がギュッとしましたね、ちょっとだけ。

特に麦の顔が社会に揉まれるにつれて大人になっていくんですよね。学生の時は無邪気で可愛い笑顔で「絹ちゃん!」って言ってたのに・・・涙

このあたりのカップルの敏感なズレの表現、ほんと菅田将暉、有村架純の演技すごかった・・・。

現実ってこんなもん

最終的に別れてしまうふたり(最後のファミレスのシーンはグッときたよね・・・)。これ以上お似合いなカップルいないでしょ、ってくらいの二人だったけど、最後はバラバラになるほうを選択しました。

ほんと、タイトルのとおり。学生の時に二人で咲かせた花は、時間が経って枯れてしまった。麦くんの実家が花火屋というのもなんとも儚い。

 

さっきから「この二人は理想のカップル!」「これ以上ないお似合い!」って書きまくってますが、そうなんですよ。ね?これが理想でしょ??そうでしょ????!!!!!って暑苦しいくらいの理想が詰め込まれてるんです。

 

でも、現実ってそんなことないでしょ

 

現実にはないから映画になるのよ。こんな価値観ばっちりの異性と出会うこととか、菅田将暉・有村架純ばりの顔面に生まれることとか、ないじゃん。

この映画が理想の二人のままで終わってたら、ただのフィクションで終わってたというか、こういう恋愛できたらいいよねで終わってるんです。

学生の時は二人の世界だけで完結できたかもしれないけど、大人になったらどうしても社会と交わらないといけないんですよね。

 

いやーーーーーーー、生きるのむず。

さいごよ、さいご

この映画の見どころは、なんと言っても、二人が別れ話をするファミレスのシーン。

まぁ、これもありえんやろポイントなのですが、麦と絹がまだキャピキャピしていたときと全く同じような、男女がファミレスの斜め後ろくらいの席につくわけです。

そこで「おれ、羊文学すきなんだよね」「え、わたしも!」みたいな過去の麦と絹じゃんってくらいの若い男女が盛り上がってるんです。

その男女の話を静かに聞いてる麦と絹。こっちは別れ話真っ最中で顔も死んでるんですよ。

 

麦と絹の間に会話はありません。ただただ涙を流すだけ。。。

このとき二人が何を思って泣いていたのかは映画で語られていません。

「おれら(わたしたち)も昔は、あんな風に無邪気に笑えてたよね」と幸せな過去を振り返って泣いてるのもあるだろうし、

「あのときの関係のまま、夫婦になれたら最高なのに」ともう来ない未来を想像してしまって泣いてたのもあると思います。

 

ま、でも成長していくにつれて価値観が変わるなんてことは、当たり前のことだし、学生の時にばっっっちり価値観があってしまった二人にとっては自然な結末だったのかもな、とも思います。