これを書いている約100日前に「100日後に食われる豚」というYouTubeチャンネルが話題になりました。
チャンネル:100日後に食われるブタ – Eaten Pig after 100 days(豚は食べられたみたいです。サムネがかなりグロテスクなのでチャンネルをみる際は注意してください)
プレジデントオンラインの記事:YouTube「100日後に食われるブタ」に賛否両論 飼い主を直撃「丸焼きがいい」
これに関してモヤモヤしてる部分があるので備忘録として感想をまとめます。
「100日後に食われる豚」の感想
まず、なんでこのチャンネルをやろうと思ったのか?開設当初にチャンネル主にインタビューをしたプレジデントオンラインの記事にはこう書かれていました。
Aさんがチャンネル主。
【A】約10年サラリーマンをしていましたが、2年ほど前にマコなり社長さんやイケダハヤトさんといったビジネス系YouTuberが人気を集めているのを見て、動画の需要がこれから高まると考えて、フリーの動画編集者に転身しました。そこで出会ったのが、S社長です。
【S社長】弊社は教育事業を展開しています。主に動画編集やプログラミングなどITスキルの講座などを提供しています。そこで動画編集の講座を受講していたのが、Aさんです。今はAさんのほうで飼育と撮影、編集をしていて、弊社のほうでディレクションやマーケティングなどをやっています。
教育事業を展開しているS社長がチャンネル主のディレクションとマーケティングをやっていると。
——視聴者からは「食っても食わなくても批判されるの確定」といったコメントも寄せられていますが、この企画の狙いは何でしょうか。
【S社長】いま流行っているSDGs(持続可能な開発目標)の中に、食品ロスをなくそうという目標があります。教育の現場や企業など様々な取り組みがありますが、その取り組みの意義を十分にPRできていないと見ています。楽しんでもらいながら、食品ロスに関して自分たちの行動を見直すきっかけをつくってもらいたいと思い、企画しました。私たちが食べているものの中にある命の尊さを考えてもらいたいと思っています。
動画の意図は「いまのままでは、食品ロスのPRがうまくいってないから、食品ロスに関して自分たちの行動を見直すきっかけになれば」というもの。
——「動物愛護管理法の虐待にあたるのではないか」という指摘があります。
【S社長】残虐な方法で解体したりすればまずいと思いますが、あくまでも教育目的で食べたいと考えています。その辺りは顧問弁護士と相談して進めていきます。注目を浴びてPVを増やすのではなく、「フードロスをなくす」というメッセージをあくまでも伝えていきたいです。
——「100日後」のあとに何か計画していることはありますか。
【S社長】いまのところは考えていないですね。ただ、「缶バッチをつくらないか?」など商品化の営業は来ています。それで儲けたいわけではないので、特に具体的な話は進んでいません。
「フードロスなくしたい」「命の尊さを考えてほしい」「注目を浴びてPVを増やすのではない」と書かれていますが、
こちらの記事「「100日後に食われるブタ」YouTube動画が波紋 「再生数稼ぎ」疑問の声に飼い主は?」ではこう書かれています。
「YouTubeのペット系を題材にしたチャンネルをやりたいという思いがあった。視聴者数が伸びやすいこともあるが、それだけでは普通のペットチャンネルとして埋もれてしまうので、スパイスが欲しいよねということで、タイトルを見てすべての人が頭に浮かぶ“100日後に死ぬワニ”というような、そこから設定としてインスパイアを受けてこのような企画になった」
当初はバズるための企画を考えていたというが、犬や猫は飽和状態。そこで、差別化を図りつつ、メッセージ性の強い内容のものとして、この企画が思いついたのだという。
視聴数が伸びる・・・??
バズるための企画・・・??
差別化・・・??
矛盾してるというか、、、やっぱりアクセス稼ぎのためってことですよね・・・??
フードロスをなくす?
あくまでも「フードロスをなくす」が目的であって、それで儲けたいわけではないと主張するS社長。
これ、本当なんですかね・・・
これまでの動画を振り返ってみると・・・
いや、ゴリゴリにPV稼ぎにいってますやん。
このように100日後に食べられることを、もてあそぶような内容が多く見受けられます。
S社長ないしチャンネル主の本当の意向はわかりませんが、視聴者に「結局、PV稼ぎが目的じゃん。お金稼ぎに豚を使ってるじゃん。」と思われてもしょうがない動画になっちゃってますよね。
しかも、「ブタの前でとんかつ食べてみた」という動画を見てどうやってフードロスについて考えればいいのでしょうか・・・。
フードロスって生産から、加工、小売、消費にいたるまでの構造的な社会問題で「みーんなが食べ残ししなければ解決!」といった簡単な課題ではないわけです。
とってつけたように「フードロスをなくす。命の尊さを考える。」という言葉を使っているようにしか見えません・・・。
儲けたいわけじゃない?
チャンネル主は動画のフランチャイズを募集しています。その募集要項がこちら(海外向けに当チャンネルの動画を翻訳した動画を出すフランチャイズ制度のご案内)。
いや、ゴリゴリにお金稼ぎにいってますやん。
短期回収 & 高収益率 & 低固定費・・・
初期の加盟費用・・・ロイヤリティ・・・。
お金の話ばっかりやん・・・。
追記。
100日後に食われるブタの中の人と面識があったのですが、ぶっちゃけ不信感が凄い。
このまま伸びたらアドセンスで月200~300万は稼げるなどと豪語してましたが、月間100万再生さえ取れてないという。
で、フランチャイズの加盟金が1000万とか?
流石にドン引きですな・・・ pic.twitter.com/SBwYNsZWmF— うめだJAPAN (@umesooooo) September 1, 2021
やっぱお金やん。
まとめ
- チャンネル主:これからは動画の需要が高まるので動画編集者に転身
- S社長:フードロスをなくす、命の尊さを考えてほしい
- 動画内容:「ブタの前でトンカツ食べてみた」「ブタが吉野家の前を散歩」
- 事業:フランチャイズを募集
問題提起としては素晴らしい試みだったと思います。批判が集まることも想定内でしょうし、そのうえで企画をやり遂げたのはすごかった。実際に、このチャンネルを通して「命とは?」を考えた人は多いと思う。
僕自身「豚ってこんな仕草するんだー」とか「豚ってこんな可愛い顔してたのね」みたいな新しい発見が多くありましたし、食育の一歩目ってそういう何気ないことでも知ることから始まるものだと思っています。
なので、このチャンネル自体、全部否定していいものではないし、それをエンタメとして自分は見ていたので否定できる立場では全くないです。
ただ、掲げた目標が「フードロスをなくす、命の尊さを考える」という崇高なものだっただけに、内容は残念なものだったと感じてしまいました。
100日後に食われるブタ
フードロス、命の大切さというわりにふざけ名前をつけ中途半端に可愛がったり、フォークやスプーンで撫でたり、豚の前で豚肉食べたり、という演出にすごい違和感。コメント欄にはそれを喜ぶような自称サイコパス達。
ただの再生数稼ぎで命を冒涜しているようにしかみえない。— wall flower (@_WA11F10WER) August 24, 2021
これを書いている日がちょうど100日目。正直、以前まではチャンネルの演出に深く嫌悪感を抱かなかったのですが、
実際に食べられるとなると、引いた。
法律にも則っているし、僕らは大量に豚を食べてきたし、チャンネル主の行動はいけないことだと言えないけど、引いた。
受け入れられなくて、チャンネルの倫理観を否定したいけどできない。
ペットとして育てて、丸焼きにされて、お金稼ぎに動物使って、動画の最後にしれっと「この動画はフィクションです」って、、、胸糞すぎる。
特にサムネよくない。なんでYouTubeの規約に引っかからないのかわからないレベル。
ペットを食べることと家畜を食べること(スーパーで売ってるお肉を食べること)はやっぱり違うと感じた。
人間だから感情移入してしまうし、ペットは食べ物ではなく家族。「そんなの人間の都合じゃん」と言われたら「はい、その通りです」でしかない。どんな動物だって自分の都合で生きてる。
僕はとあるコミュニティで、このチャンネルを紹介したのですが、安易に紹介できるようなものではなかったです。
それこそ、自分は命を軽視していたのだと反省しました。
本で勉強することと、こうやって映像でみることって大きな違いがあるなと感じました。
問題点
こういう動物倫理の問題は「こういう状態が理想だ」とはっきり言えない点が難しい問題だと思っています。
今回の100豚チャンネルでは何が問題点として挙げられるのかをまとめました。
- ペットを食べるのは問題ないことなのか?
- 動物の命をもてあそんでお金を稼ぐのはいいの?
- 動画を見て「命に感謝します」という感想は正しいのか?
- 人は動物を食べることに対してどこまで考えるべきか?